2007年 03月 24日
片山鳥取県知事のお話 |
今日の午後、近くの会館で鳥取県の片山知事のお話を聞いてきました。
兵庫県震災復興研究センターというところが中心になって作った『災害復興ガイド』という本の出版記念シンポジウム」の基調講演で、「災害復興を考える」というタイトルでしたが、話は災害のことを超えて、地方の自立、地方主権と中央集権といったテーマに関わることでした。
非常に不完全なメモですが、その場で打った記録を載せます。
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片山知事のお話
(07.3.24、「『災害復興ガイド』出版記念シンポジウム」記念講演)
●災害復興のミッションは何か。
「ミッション」→【誰のために】【何の目的で】
●統一地方選。
「公共事業」は一大論点。
知事を2期8年やったが、就任前の4割にした。
相当な議論がある。
生やさしくない。「改革というが、わしら仕事がなくなった」
●「公共事業のミッションは何か」の議論ない。
量的に減らす云々ばかり。
全国の自治体、(数年前まで)だいたい間違えている。
=「景気のため」。
→量は多い方がいい、早い方がいい。
→沢山作ったが、無駄に。
ミッション間違えている。
「不景気克服のため」=土木建設業者のため、ではない。
他の、福祉等々と別の「特別なもの」ではない。イーブン。
●公共事業のミッション=県民のために必要かどうか。
業者のためではない。
だから、景気対策ではない。要らないものは作らない。
「低コストで、良質なものを」
いかにミッションを間違えないことが大事か。
●議会のミッションは何か。
→(挙手)ゼロ
地方分権とは、議会がきちんと支えること。
「首長、NPO、市民」というが、「議会」が忘れられている。
議員、総じてミッション間違えている。
首長もだが、知事は47人、市町村長でも1800人しかいない。
議員。
選出する母体のみなさんのミッション感覚がずれているからと思う。
●大阪の話
病院窓口での口利き。
困っているおばあちゃんを前に。一概に悪と言えるか。
「なぜ悪いんだ」と真剣に議論。マスコミも「どう思いますか」
目の前の政治課題。
政治家としては放って置いてはいけない。
しかし著しく公正を害している。
優先=劣後。被害発生。他にもおばあちゃんいるかも。
一人を助け、10人を害している。
政治家としては、長い行列ができないようにするのが課題。
システム改革。
●そこで、災害復興のミッションとは何か。
(そんなに難しくない)
【誰のため】=被災者のため。
(いいチャンスだから)まちづくりのため=間違い
異論はないはずだが、都市工学の人などはあるかも。
【何の目的】=被災者の不安、高じて絶望も。
→できるだけ不安を解消、被害を軽減、
絶望を少しでも希望に。(できるだけ元に戻す)
(いろんな表現があると思うが、私なりに)
今日来ている人には釈迦に説法かも。
来ない人が問題。馬の耳に念仏。
しかし10人中8,9人は是とするのではないか。
●大事なのは現場主義、当事者主義
災害復興は当事者のためにある。地方政府のため、中央政府のためにあるわけではない。
が、往々にして、政府の方を向いて、「どういう施策があるか」「どんな補助金があるか」という発想。
鳥取県西部地震。
発生後現場回ったらすぐ分かった。「これは住宅問題だ」
過疎化、高齢化の中、住んでいる住宅がやられた。
70〜75歳の人が多い。
余生を隣近所の人らと暮らしていこうと思っていた。
こんなこと想像もしていなかった。
気力もなく、資力もない。
絶望。「望」=ここで暮らしたい。
しかしどうしようもない。
東京、大阪など遠方の息子、娘が「おいで」と言ってくれる。
不安の対象にもなる。大都会。環境激変。
現場でみんなが感じた。
住宅問題。ここで住み続けられるような支援。
しかし中央政府「まかりならん」。今も。
「中央の金ではなく県の金、なぜ悪い」と言っても、
「誰の金でもいかん」「憲法違反」。
「憲法何条に書いてある?」。水掛け論。
「中央政府のご機嫌を損ねないこと」は災害復興のミッションにはない。
ミッションを明確に
●ミッションの次に、スピード感が必要。
不安と絶望は日に日に増す。
地震発生が10/**
精神科医「10/17の住宅再建支援をするという記者会見が最大のメンタルケア」
(避難所から起き上がって工務店を探し始めた)
何年も経って、小出しにやってはダメ。
やるなら早く。
●事前の準備を良くしておくこと
役所は自分たちの動作について訓練するが、本当の訓練は当事者のためにしないといけない。
ミッションここでも誤る。
鳥取でもそうだった。
●問題点。
ミッションの共有がない
→いろんな問題
・災害復興なのに、通常業務のやり方を頑として変えない人が多い。
非日常なのだから日常的対応変えないとしょうがないのに、変えようとしない。
日常的対応は、制度がいろいろできている。
しかし災害、非日常には非日常的な支援がいるのに。
しかし「道路整備」「***」という制度からしかお金が流れて来ない。
米国のやり方見習う点ある。
米)総額いくらと決めて、現場で使途は決めさせるやり方。
阪神淡路。総額10兆円以上使っている。その割に顧客満足度低い。ズレているから。鳥取県西部でも随分使ってもらったが。同様。
なぜできないのか。
経済政策も同じ。未曾有の大不況を克服するためには、前例のない対策をしないといけないのに、確証縦割りの中で、従来型施策の増額だけ。「バラマキ」ではなく「日常的」だった。
景気対策に、なぜ「農道」なのか。景気対策にならない。
ニューディールの「ダム」=電源開発(回って
日本の農道=当面の土木事業増えただけ
非日常的対応は、霞ヶ関のバランスを崩す。官僚は嫌がる。
災害復興のミッションを先に言ったが、霞ヶ関のみなさんにとってはそれはどうでもいいこと。バランスを保ち、既得権を守ること。
●最初から非日常的対応しようとしたわけではない。曲折あった。
仮設住宅という制度あるから、仮設を庭先に作ったらいいと思った。都会でないので土地ある。撤去しない。
(作るのに300万円、撤去に100万円かかる)
→「ダメ」
・ずっとはダメ。3年で壊す。
・本人の土地にはダメ。公共の土地か、借り上げた土地。
国交省と随分やり合ったが、崩せなかった。
(仮設住宅は28戸だけ作った)
→住宅再建支援をした。
中央官僚、ミッション間違っている。
最初は「やれない」「やらせない」。
最後には「やったら困る」。
(阪神淡路の時に「やれない」としたから)
明らかにミッション誤り。
●その後、住宅再建やった。
なんだ、やれるじゃないか。
記者発表やったとき、実は落ち込んだ。
本当にやれるか。認定も不安。財源も。
職員「とうとう言っちゃいましたね」
翌朝、神戸から電報いくつも来ていた。エール。
元気取り戻した。
全国の課題だと思った。
・・・
全国知事会。基金。
基金の増額。住宅本体の再建。
知事会でもかなり賛同してくれた。
(千葉、佐賀、福井、新潟、宮城、、、)
決を採ったら46対1で負けた。
個人的には賛同してくれても、官僚に阻まれた。
2年前の5月のこと。
7月に大豪雨。福井と新潟。
**の知事から電話。「本体に使えないのはおかしい」
○月に「***を政府に要望すること」という決議案。
→おかしいじゃないか。(みんな自分で考えろ)
●住宅本体につかえるかどうかは大きい。
被災者にとって大きく違う。
最初のミッション。誰のため?
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兵庫県震災復興研究センターというところが中心になって作った『災害復興ガイド』という本の出版記念シンポジウム」の基調講演で、「災害復興を考える」というタイトルでしたが、話は災害のことを超えて、地方の自立、地方主権と中央集権といったテーマに関わることでした。
非常に不完全なメモですが、その場で打った記録を載せます。
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片山知事のお話
(07.3.24、「『災害復興ガイド』出版記念シンポジウム」記念講演)
●災害復興のミッションは何か。
「ミッション」→【誰のために】【何の目的で】
●統一地方選。
「公共事業」は一大論点。
知事を2期8年やったが、就任前の4割にした。
相当な議論がある。
生やさしくない。「改革というが、わしら仕事がなくなった」
●「公共事業のミッションは何か」の議論ない。
量的に減らす云々ばかり。
全国の自治体、(数年前まで)だいたい間違えている。
=「景気のため」。
→量は多い方がいい、早い方がいい。
→沢山作ったが、無駄に。
ミッション間違えている。
「不景気克服のため」=土木建設業者のため、ではない。
他の、福祉等々と別の「特別なもの」ではない。イーブン。
●公共事業のミッション=県民のために必要かどうか。
業者のためではない。
だから、景気対策ではない。要らないものは作らない。
「低コストで、良質なものを」
いかにミッションを間違えないことが大事か。
●議会のミッションは何か。
→(挙手)ゼロ
地方分権とは、議会がきちんと支えること。
「首長、NPO、市民」というが、「議会」が忘れられている。
議員、総じてミッション間違えている。
首長もだが、知事は47人、市町村長でも1800人しかいない。
議員。
選出する母体のみなさんのミッション感覚がずれているからと思う。
●大阪の話
病院窓口での口利き。
困っているおばあちゃんを前に。一概に悪と言えるか。
「なぜ悪いんだ」と真剣に議論。マスコミも「どう思いますか」
目の前の政治課題。
政治家としては放って置いてはいけない。
しかし著しく公正を害している。
優先=劣後。被害発生。他にもおばあちゃんいるかも。
一人を助け、10人を害している。
政治家としては、長い行列ができないようにするのが課題。
システム改革。
●そこで、災害復興のミッションとは何か。
(そんなに難しくない)
【誰のため】=被災者のため。
(いいチャンスだから)まちづくりのため=間違い
異論はないはずだが、都市工学の人などはあるかも。
【何の目的】=被災者の不安、高じて絶望も。
→できるだけ不安を解消、被害を軽減、
絶望を少しでも希望に。(できるだけ元に戻す)
(いろんな表現があると思うが、私なりに)
今日来ている人には釈迦に説法かも。
来ない人が問題。馬の耳に念仏。
しかし10人中8,9人は是とするのではないか。
●大事なのは現場主義、当事者主義
災害復興は当事者のためにある。地方政府のため、中央政府のためにあるわけではない。
が、往々にして、政府の方を向いて、「どういう施策があるか」「どんな補助金があるか」という発想。
鳥取県西部地震。
発生後現場回ったらすぐ分かった。「これは住宅問題だ」
過疎化、高齢化の中、住んでいる住宅がやられた。
70〜75歳の人が多い。
余生を隣近所の人らと暮らしていこうと思っていた。
こんなこと想像もしていなかった。
気力もなく、資力もない。
絶望。「望」=ここで暮らしたい。
しかしどうしようもない。
東京、大阪など遠方の息子、娘が「おいで」と言ってくれる。
不安の対象にもなる。大都会。環境激変。
現場でみんなが感じた。
住宅問題。ここで住み続けられるような支援。
しかし中央政府「まかりならん」。今も。
「中央の金ではなく県の金、なぜ悪い」と言っても、
「誰の金でもいかん」「憲法違反」。
「憲法何条に書いてある?」。水掛け論。
「中央政府のご機嫌を損ねないこと」は災害復興のミッションにはない。
ミッションを明確に
●ミッションの次に、スピード感が必要。
不安と絶望は日に日に増す。
地震発生が10/**
精神科医「10/17の住宅再建支援をするという記者会見が最大のメンタルケア」
(避難所から起き上がって工務店を探し始めた)
何年も経って、小出しにやってはダメ。
やるなら早く。
●事前の準備を良くしておくこと
役所は自分たちの動作について訓練するが、本当の訓練は当事者のためにしないといけない。
ミッションここでも誤る。
鳥取でもそうだった。
●問題点。
ミッションの共有がない
→いろんな問題
・災害復興なのに、通常業務のやり方を頑として変えない人が多い。
非日常なのだから日常的対応変えないとしょうがないのに、変えようとしない。
日常的対応は、制度がいろいろできている。
しかし災害、非日常には非日常的な支援がいるのに。
しかし「道路整備」「***」という制度からしかお金が流れて来ない。
米国のやり方見習う点ある。
米)総額いくらと決めて、現場で使途は決めさせるやり方。
阪神淡路。総額10兆円以上使っている。その割に顧客満足度低い。ズレているから。鳥取県西部でも随分使ってもらったが。同様。
なぜできないのか。
経済政策も同じ。未曾有の大不況を克服するためには、前例のない対策をしないといけないのに、確証縦割りの中で、従来型施策の増額だけ。「バラマキ」ではなく「日常的」だった。
景気対策に、なぜ「農道」なのか。景気対策にならない。
ニューディールの「ダム」=電源開発(回って
日本の農道=当面の土木事業増えただけ
非日常的対応は、霞ヶ関のバランスを崩す。官僚は嫌がる。
災害復興のミッションを先に言ったが、霞ヶ関のみなさんにとってはそれはどうでもいいこと。バランスを保ち、既得権を守ること。
●最初から非日常的対応しようとしたわけではない。曲折あった。
仮設住宅という制度あるから、仮設を庭先に作ったらいいと思った。都会でないので土地ある。撤去しない。
(作るのに300万円、撤去に100万円かかる)
→「ダメ」
・ずっとはダメ。3年で壊す。
・本人の土地にはダメ。公共の土地か、借り上げた土地。
国交省と随分やり合ったが、崩せなかった。
(仮設住宅は28戸だけ作った)
→住宅再建支援をした。
中央官僚、ミッション間違っている。
最初は「やれない」「やらせない」。
最後には「やったら困る」。
(阪神淡路の時に「やれない」としたから)
明らかにミッション誤り。
●その後、住宅再建やった。
なんだ、やれるじゃないか。
記者発表やったとき、実は落ち込んだ。
本当にやれるか。認定も不安。財源も。
職員「とうとう言っちゃいましたね」
翌朝、神戸から電報いくつも来ていた。エール。
元気取り戻した。
全国の課題だと思った。
・・・
全国知事会。基金。
基金の増額。住宅本体の再建。
知事会でもかなり賛同してくれた。
(千葉、佐賀、福井、新潟、宮城、、、)
決を採ったら46対1で負けた。
個人的には賛同してくれても、官僚に阻まれた。
2年前の5月のこと。
7月に大豪雨。福井と新潟。
**の知事から電話。「本体に使えないのはおかしい」
○月に「***を政府に要望すること」という決議案。
→おかしいじゃないか。(みんな自分で考えろ)
●住宅本体につかえるかどうかは大きい。
被災者にとって大きく違う。
最初のミッション。誰のため?
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by jitsuyoshi
| 2007-03-24 20:03